創業明治20年

本書の刊行は便利堂創業130周年記念プロジェクトのひとつとして取り組んでいます。

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文化財撮影技師が大切にすること

最終更新: 2018年6月22日

最終更新: 7時間前


 皆様こんにちは!6月に入り、少しずつ蒸し暑い気候になってきました。日本独特の夏の季節がじわじわとやってきていますが、暑い時期は、社外で撮影することが多い便利堂の写真技師にとってもつらい季節なんです。『国宝事典 ブログ』2回目の今回は、オールカラー(*)で写真を掲載する『国宝事典 第四版』に合わせて、便利堂が擁する撮影技師と文化財撮影についてご紹介いたします! *刀剣など一部作品はモノクロ写真での掲載となります。


仏様など信仰されているものには畏敬の念をもって撮影をします (神護寺「薬師如来立像」撮影風景)

高度な技術を持った写真技師集団  

 便利堂の写真工房は、美術品や文化財などの写真撮影を専門としており、美術工芸品や建築物はもちろん、舞楽や能楽など様々なジャンルを対象として撮影をしています。その歴史は長く、草創はコロタイプが導入された明治38年(1905)にさかのぼり、昭和2年(1927)に、東京にあった辻本写真工藝社の高級原色版部が便利堂に併合され、佐藤浜次郎を始めとする6名の技師が便利堂に移籍したことよって、確かな実績を持った技術者集団としての基礎が作られました。


 その後は、法隆寺金堂壁画の原寸大撮影や、當麻曼荼羅の原寸大撮影、さらに終戦以降は大英博物館蔵《女史箴図巻》撮影や高松塚古墳壁画の撮影、最近では冷泉家所蔵古文書の撮影など、日本中の注目を集めるような撮影を手掛けています。


撮影には様々な機材が必要

ヒトより文化財

 そんな便利堂写真工房が撮影で大切にしていることは、何よりも文化財を第一優先に考えるということです。撮影には多くの機材を現場へ持ち込まなければなりませんが、撮影場所は博物館や美術館の収蔵庫だけではなく、お寺や神社、所蔵者様のご自宅など様々。そのため限られた条件の中で文化財を前にすることになりますが、その際ほんの少しでも痛むことが無いよう細心の注意を払って撮影をしています。

 また暑い日は、炎天下や蒸し暑い部屋など、汗がにじみ出るような条件で撮影をしないといけないこともあります。気温や湿度を急激に変えると文化財に悪影響を及ぼすため、技師の体調は二の次、三の次。さらに汗は、文化財にとって絶対に禁物!本当に神経をとがらせながら撮影に挑んでいるのです。

必要な時はこんなところにも

 それでも、限られた条件のなかで文化財のもつ情報を最大限に写真に残すことができるのが、便利堂写真工房の最大の強みです。文化財は失われてしまえば、もう二度と同じ価値のものを作ることができません。そのため形や質感など多くの情報を、そのまま写真で残す必要がありますが、それらはライト1つ、カメラの角度1つで大きく変わってしまいます。しかし、そこは技師たちの高度な技術と経験よって1枚1枚丁寧に撮影をしています。とても過酷な作業ですが、そうやって未来へ残る仕事をすることが、便利堂写真技師にとっての楽しさでもあり、喜びでもあるのです。あるいは、暑い日の大きな仕事を成し遂げた後の、一杯を喜びにしている人も…!?


すべては文化財を未来に遺し伝えるため (東福寺塔頭勝林寺「金箔壁画」撮影風景)

 今回の『国宝事典 第四版』に収録された図版の多くが、便利堂によってこれまで丁寧に撮影された写真を使用しています。もちろん今回の掲載のために新規取材した写真も多数あります。写真は写っている情報しかわからないという点もありますが、その裏には撮影をした便利堂技師をはじめとするカメラマン達の技術や苦労、そして喜びがあるのです。ぜひ撮影の様子を想像しながら、国宝事典収録の図版をご覧ください!

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