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皆様こんにちは!『国宝事典 第四版』の進捗具合と国宝事典に関するトピックをお伝えする『国宝事典News Letter』、3回目の今回は、「ベタ校」についてご紹介いたします!
「ベタ校」
梅雨に入り、1日外に出かけると体がべたべたする季節になってきました。そんな季節に、国宝事典は先日「ベタ校」をおこないました。その様子がこちら。
とても爽やかな雰囲気で担当の3人が作業しており、全くベタベタ感はありませんが、これが便利堂でいう「ベタ校」の様子です。「ベタ校」と聞いて、何のことかわかる人は少ないと思いますが、正しい言葉で説明をすると、国宝事典に掲載する図版の色の「校正」をしているんです。
それをなぜ便利堂では「ベタ校」と呼んでいるかといえば、国宝事典など文字が大半を占める場合、図版は1ページの中で多くても2、3点。それを文字も含めた状態で印刷し、図版だけの色校正をすると、文字の分だけ紙やインクなど無駄な範囲が生まれコストがかかってしまいます。そのため、図版だけを「ベタベタ」と1枚の紙に集めて色校正をしており、その表現から「ベタ校」と呼んでいるのです。
「ホンキ」の校正
そんな便利堂の色校正は、無駄を省きつつも、美術品・文化財の本をつくる上でとても大切にしていることがあります。それは、校正といえども、「本紙本機校正」をするということ。「校正」とは、印刷工程の途中で、原稿や原本(本物)と照合し、誤りや不備を直す仕事です。とくに文化財の写真を掲載する本の場合は写真1枚1枚が、その文化財の二次資料になる可能性があり、正しい色で掲載する必要があります。そのため便利堂では色校正の段階で、完成品と同じ紙と同じ印刷機を用いた校正刷りをし、色校正をするようにしているのです。文字通り「本紙本機」の校正です。
ましてや、カラーで掲載する国宝事典の「色校正」。担当者3人も「本気」の校正です。「この人はコテコテやな」、「この子はもっとケバいかしら」など、専門用語が飛び交い、写真を撮ろうとする私が入る隙もありません!ちなみに、文化財に携わる人に多いのですが、美術品や文化財を「ヒトのように呼ぶ」人がたまにいます。学芸員の方々にも時々いらっしゃったり。
次から次へと手際よく作業が進んでいきますが、その中心にいるのが、プリンティングディレクターの品川さん。品川さんは、便利堂で40年近く文化財や美術品の印刷に携わる、色校正のエキスパートです。なんでも、昔オフセット印刷技師達の間では、近くにある机や椅子などの色が、何色が混ざってその色の表現になっているかなど、お酒を飲みながら議論していたとか…!?それほどまでに優れた目と、膨大な知識を持った品川さんの的確な指示によって、国宝事典の「ベタ校」は進められます。
このように掲載図版をより本物に近づけるため、プロフェッショナル達によって日々作業が進められている『国宝事典 第四版』、6月中の刊行を目指していましたが、間違のない、精度の高い内容をめざし鋭意編集作業をしていることもあり、少々作業がずれ込んでおります。ご予約いただいた皆様、またすでにお振込みいただいている皆様には、お待たせしており大変申し訳ございませんが、次回のニュースレターで刊行日を発表できるよう努めてまいりますので、もうしばらくお待ちください。
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