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  • 執筆者の写真便利堂 国宝事典係

本の形と質感

 皆様こんにちは。ご予約いただきました国宝事典の進捗具合とトピックをお伝えする『国宝事典News Letter』の第6回目は、本事典の表紙と箔押し作業についてご報告いたします。


 先日お伝えしました通り『国宝事典 第四版』の刊行日は、4月20日(土)を予定しております。既に製本の表紙製作ならびにケースの印刷・製函は終了していることから、本文の印刷と製本を現在進めているという状況です。


 さてその製本についてですが、今回国宝事典は「上製本」という仕様で出版されます。上製本とは、いわゆる「ハードカバー」のことで、ボール紙という厚紙に化粧紙や布を包んだ表紙を用いた本のことをいい、非常に丈夫でかつ上品な仕上がりにできるため、単行本や長期保管されるような記念本などで使用されています。今回の表紙には紺色の「シャンタン」いう生地を使用し、これを表表紙・背表紙・裏表紙にそれぞれ貼り付けています。その後、タイトル等を背表紙に入れていきますが、この「箔押し」作業が実は難しいのです。


表紙

 そもそも「箔押し印刷」とは、箔にコーティングされた色や素材を物に印刷するもののことを言いますが、日本における「箔押し」は、金箔や銀箔を漆器や蒔絵、仏像などに貼り付ける「金貼り」の技術が元になっているとも言われています。ちなみに海外では、金箔が紀元前1500年頃のエジプトで製造され、装飾などに使われており、金などの箔による装飾は長い歴史があるのです。


箔押し機

 現在の箔押し印刷が実用化されたのは、1950年代以降のこと。箔押し印刷は「ホットスタンプ」とも呼ばれるように、熱と圧力を使用して印字していきます。今回の国宝事典の表紙では、背表紙に金のアルミ箔をのせて、熱した文字の形につくられた凸型の版を押し付け圧着させていますが、じつはこの作業は、全て製本会社の職人さんが箔押し機によって手作業でおこなっています。版の細かいところまで過不足なく箔を押し付けるためには版の温度と圧力の関係が非常に難しく、職人の技と経験が必要なのです。


箔押し後

 今回の国宝事典は、多くの職人によってつくられています。内容や図版はもちろんですが、ぜひ本の仕様や質感にも触れて、見て、味わってみてください!




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